2012年1月16日月曜日

1/12 ガールズ(8-12歳対象)・グループ開始!



The Mandella Projectは私の住んでいる町のユース:8-12歳、13-17歳のための
アクティビティーのプログラムなどを運営しています。

The Mandella Project:www.youthpartners.ca

私が担当していてきたのは毎木曜日の3:00~4:30p.m.の 
Art Explosion:芸術は爆発!のクラスでした。
対象年齢は8-12歳。
男女混合のクラスですが、大抵は女子のみが参加していました。




パンフレットにあるこのArt Explosionの説明は以下の通りです。

A few of the reasons ART has value for you/your child
アートがあなたとあなたの子どもにとって価値がある理由は・・・


►learning to think creatively, with an open mind
オープン・マインドで創造的に考えることを学べる。

►practicing problem-solving skills, critical-thinking skills, and art-making skills
問題解決方、批評的な考え方、そしてアート制作の技術が学べる。

►discovering that there is more than one right answer, multiple points of view
一つ以上の正しい答え、幾つもの見方があることを発見できる。

►learning to collaborate with others
他者との共同作業の仕方を学べる。

►introducing to cultures from around the world
世界中からの文化を紹介してもらえる。

►Even with physical, emotional or learning challenges, can experience success in the arts
身体的、感情的、また、挑戦することを学ぶことでアート制作の成功体験ができる。

►Arts build confidence - there is not just one right way to make art,
therefore everyone can feel pride in his or her original artistic creations
アート制作によって自信が持てるようになる。
アート制作はたった一つの正しいやり方があるわけではないので、
自分なりのアート作品を誇りに感じられる。



 
私のクラスに来ている少女たちの行動を観察していて、さまざまな気付きがありました。
そこで、アート・インストラクターではなく、心理療法家としての眼差しから
このプログラムを仕切っている上司Lさんにその気付きをお話しさせて頂きました。

私の目から見ると、それぞれの少女が心の傷つき体験を持っているであろうこと。
その影響からか情緒的(他の面でも)発達が遅滞しているような行動が見られること。
悲しみや喪失感を安全な場で他者と共有すること、また、共通するこれらの体験を内在化していくのにアート・セラピーのグループが望ましい方法のひとつであること。
Lさんは私がアート・セラピストであることをご存知だったので、

「では、このArt Explosionのクラスを参加者限定のアート・セラピーのグループにしてもらえない?」

と持ちかけてくれました。
私にとっては願ってもないお申し出でした。

このような経緯で、2012年新年から私の教えていたArt Explosion:芸術は爆発!のクラスは、
このガールズ(8-12歳対象)・グループになりました。

プログラムに参加可能な登録済みの生徒さんの親御さん宛に
グループの説明や注意点なども事前にお伝え頂いておき、私も用意万端で初日を迎えました。

時間より早く会場入りしてLさんに尋ねてみました。

私「このグループは何人くらい来るかしら?」

Lさん「登録者は10人以上いるけど1月はまだ参加する子が少ないかもね、新年明けたばかりだから」

さすが、カナダってのんびりしているな~と思いながら参加者を待ちました。

開始時間を過ぎてからやってきた少女が一人。
私が折り紙を教えてくれるのが楽しいから来たとのこと。
う~ん、グループでは特に折り紙をする予定はないんだけどな・・・

とりあえず、折り紙の個人教授状態で他の参加者を待ちました。

ずっと姉妹で参加している二人がやってきて、3人で折り紙の時間に。

「今日、学校で折り鶴を習ってきたの。空覚えで折れるよ。たくさん折るんだ~」
折り紙に超乗り気な妹ちゃん。

どーしよーかな~
折り紙の合間に今日のグループの内容をさりげなく導入しようかな~



簡単な折り紙の本(ダイソー製)に出ていたご飯茶碗を作りたい!少女がいて、
こんな風にご飯茶碗3膳という形で作品として仕上げました。 お箸まで作って満足気。
全部自分で作って、日本語だけ私に書いて欲しいということで引き受けました。

その内、お姉ちゃんが、こんなことを言い出しました。


姉「このお茶碗、巨大なのを作って逆さまにしたらワンピースみたいね」

私「じゃあ、作ってみようか」

ということになり、1m四方の正方形で折ったお茶碗を逆さにして、
毛糸で肩紐をつけて着てみると・・・















































































































































これじゃあワンピというより、エプロンみたい(笑)




その内、姉妹の妹ちゃんが机の上に上向けになり、顔を逆さに。
そこにお姉ちゃんがボールペンで目を描いて、顔を表現してみました。
目だけで、鼻を描かないのがいいんだそうです(笑)

大きな鶴も見てみたいというので、私は再び1m四方の正方形で折り鶴作成。
そんなことをしていたら、終了時間が近づいてきました。

アートの時間はライブみたいなもので、どう趣向を凝らしてみても、
シナリオ通りに進まないことが多いと体験から学びました。
こんな日もあるさ、と今週は折り紙に終始したことを受け入れました。



お迎えのお母さんに今日作った作品を見せた少女の横顔は笑顔に満ちていました。
大きな鶴も持って帰ることにして、その翼の懐に全ての今日作った作品を内包。
まるで幸運を運ぶ特別な鳥のようになりました。
巨大鶴を折った私もこんな風に使ってくれて嬉しかったです。

あと9週間あるガールズ(8-12歳対象)・グループ
一応、毎週、グループの内容・制作物の準備はしては行きますが、
現場に臨機応変に対応していくことにします。

2012年1月7日土曜日

1/5 自閉症スペクトラム障害児とのアート・セラピー講演会


初日の出ではありませんが、新年早々、こんな朝焼けが見えました。

昨夜、私が住んでいる町の自閉症スペクトラム障害:ASDのためのサポート・グループに対して
『自閉症スペクトラム障害児とのアート・セラピー』の講演会が開催され、
講師としてスライド・プレゼンテーションをしてきました。

 セットアップを担当してくれたBさんは言語学の博士号を持ち、言語療法士としても活躍中。

自閉症スペクトラム障害をWikkipediaから引用してみます。

自閉症スペクトラム(じへいしょうスペクトラム、英語: autism spectrum, autistic spectrum)とは、自閉症、アスペルガー症候群(日本語ではアスペと略されて呼ばれることもある)、
特定不能の広汎性発達障害などの各疾患を広汎性発達障害の連続体の1要素として
捉えたもののことである。

自閉症の説明はこちら。

自閉症(じへいしょう、Autism)は、社会性や他者とのコミュニケーション能力に困難が生じる
発達障害の一種。先天性の脳機能障害であるが、脳機能上の異常から認知障害の発症へといたる具体的なメカニズムについては未解明の部分が多い。
時に、早期幼児自閉症、小児自閉症、あるいはカナー自閉症と呼ばれる。

日常語でうつ病やひきこもり、内気な性格を指して自閉症と呼ぶこともあるが、
これは医学的には完全に誤った用語である。

発症率は増加の傾向にあり、現在では大まかに「100人に1人」と言われています。

私はカナダBC州教育庁管轄の83部門で公認アート・セラピストとして仕事をしています。
主に問題行動のある生徒と一対一の個人セッションを継続的にしています。
その中にはアスペルガーを含む自閉症傾向のある生徒もいます。

今回の『自閉症スペクトラム障害児とのアート・セラピー』の講演会では、
主に私がセッションをしてきたASD傾向の生徒たちのアートワークの写真を元に、
それぞれの症例を紹介する形になりました。

最初にアート・セラピーにおける自閉症スペクトラム障害児の治療的ゴールのご紹介しました。

自己認識感を向上させること 。

 社会性を発達させること。

 行動の変化を起こすこと。
 
 問題解決力をつけていくこと。

 安全な環境の中で創造的な発想ができるようにしていくこと。

 侵入的な考えを締め出すために手を使った活動をすることに集中できるようになること。

Art Therapy for High Functioning Autism - How to Get Started

一口に自閉症スペクトラム障害児と言っても、それぞれの症例は変化に富んでいます。
私とのセッションで上記の項目の内の幾つかが飛躍的に向上した例もあれば、
効果が遅々として現れなかった例もありました。

ひとつだけ言えるのは、どの生徒も活き活きとアート・セラピーに取り組んだということ。
瞳が輝いて、笑顔がこぼれるようになりました。
地元の保健所内のホールには自閉症スペクトラム障害児の親御さんや専門家が
集まりました。

60枚以上の写真をした私の講演時間は1時間。皆さん、とても熱心に見入っていて、
質問の声も上がり活気のある会となりました。
そして、最後に発達障がいの生徒に対して共感を感じる体験を綴った私の詩を朗読しました。



Baby Steps Make Changes


I was born and raised in Japan.
When I started to learn English in grade seven,
I was excited and thrilled,
And dreamed of going abroad in the future.

When I came to Canada to teach Japanese.
I felt like my dream had come true.
I had much knowledge in teaching Japanese culture.
However I could not write, read or speak English well.

I was frustrated when others didn't understand me,
I was anxious when I couldn't write well.
I was helpless when I couldn't understand what others were saying.

I know how hard it is when we are not understood,
When we are not accepted,
And when we are not valued for who really are
Because we cannot do things the way others expect.

Then we start to walk with baby steps.
We can show we have different qualities,
And begin to express our inner feelings,
Striving to do the best we can.

These baby steps make changes,
Changes that lead to our dreams coming true.
Little by little, one day at a time,
We step forward towards a bright future.



【よちよち歩きから始めよう】



私は日本で生まれ育った。
中学で英語のクラスが始まった時、
ワクワク・ドキドキしたっけ。
英語ができるようになって、いつか海外に行くことを夢見て。

日本語を教えにカナダにやってきた時、
夢が実現した!って嬉しかった。
でも、日本の文化を教える知識はあったけど、
英語の読み書きやしゃべりはうまくできなかった。

自分が理解されなかった時の不満感
うまく書けなかった時の不安感
他の人が話していることが分からなかった時の救いようのない気持ち
全て味わってきた。

だから、私にはわかる。
自分が理解されず、受け入れられず、
本来の自分の価値を分かってもらえない時の苦しさを。
ただ、他の人の期待に沿うようにできないために。

そんな気持ちの時は,
よちよち歩きから始めよう。
自分は違うよさを持っていることを示し、
自らの気持ちを表現し、
できるだけのことをしてみようよ!

このよちよち歩きは変化を生み出すから、
そして、夢の実現に導いてくれる。
少しずつ、毎日一歩ずつ
明るい未来に向かって歩み続けていけばいい

© Eiko Uehara 2008

お子さんの姿を思い浮かべながら朗読に聴き入って下さったサポートグループの
親御さんたち。 私のアート・セラピーの実践に対して共感を抱いて頂けて本望でした。

この後の懇話の時間には自閉症スペクトラム障害のお子さんに対してのアート・セラピーを
試してみたいという親御さんが何人かいらして、いろいろとお話してきました。

ASDサポートグループの会長よりお礼状を頂いて帰りました。

 開封してみると、感謝の気持ちと共に地元のカフェのギフト・サーティフィケートも
入っていて嬉しかったです。

膨大な数の写真を検索し、写真を選んでスライドを編纂するのに莫大な時間を費やしましたが、こんなに喜んで頂けてセラピスト冥利につきました。

2012年1月2日月曜日

12/29 バンクーバーでの初グループ・アート・セラピー


 皆様、明けましておめでとうございます!
本年もよろしくお願い致します。

日本より16時間遅れでカナダ西部のBC州は年明け致しました。


歳の暮れと新年をバンクーバーで過ごすのがここ数年の習慣になっています。そして、今回のバンクーバー滞在で初めて、バンクーバーで日本語による”グループ・アート・セラピー”を開催しました。しかも、このワークショップは笑いヨガとコラボで企画されました。

今回のフライヤーです。

『心のアート・ワーク』楽くアート・セラピー体験を!

アート・セラピーとは、画材やクラフト材料などを用いて
心の中にあるいろいろな気持ちを外に出してみる方法です。
このワークショップに参加するのにアートを作ることが
上手かどうかは関係ありません。
私の『心のアート・ワーク』法は、どのようにそのアートを
作ったかのプロセスにフォーカスします。
「絵を描くのは苦手」という方こそご参加頂き、創造する楽しさを
知って頂きたいのです。参加された方々とテーマに沿った
アート・ワークをして気持ちをシェアして分かり合えたり、
自分とは違うものに出会って刺激を受けることも新鮮な体験になります。
心のフィットネスに行ってリフレッシュするような気軽な気持ちで
『心のアート・ワーク』を楽しんでみませんか?
 
テーマ『新しい年、新しい自分でスタート!』

誰もが「来年こそは夢を叶えたい!」と期待と共に始める新しい年。新しい自分に出会って目標や夢を叶えませんか?新しい自分になるに、今まで持ち続けてきた自分に対する考えや、心をよぎっていったさまざまな想い。また、無意識の内に取ってきた行動を見直す機会を持ってみましょう。それらを受け入れて既にいらなくなったものは感謝と共に手離していくことは幸せになるための大切な過程のひとつ。このワークショップに参加して新しい自分に出会って、来る2012年を変化の年にしてみませんか?


この新しい自分に出会う行程の仕上げは、お腹の底から笑う楽しさを体験して頂きます。ラフターヨガ認定リーダー郁子Kunzさんによる『笑いヨガ』をお楽しみ下さい。笑う角には福来る!皆さんでいち早く来年の福を呼び込みましょう!

この日は定員を上回る7名の参加者が集まりました。

昨年から受けている私のアート・セラピー・セッション(個人、グループ)の体験談を自作のアートと共に語るHさん

夏に受けたアート・セラピーの個人セッションの感想を語るMさん

お二人の体験談に聴き入っていた参加者からは、初めて臨むアート・セラピーへの緊張感が柔らでいくような表情が感じられました。

ペアになってお互いに成り代わって相手を紹介しあうエクササイズ。会場からは笑いが絶えませんでした。


今年の自分をイメージで表すと…


色や形を用いて自分の1年を振り合えってみる作業

これらのアート・エクササイズを通して2011年の自分の一年間を改めて客観的に見直してみる機会を得ました。

途中でお茶の時間を取って、豪華なお茶菓子を頂きリラックス。


お手製のお菓子も持ち寄られ、お話しも弾みました。

私のアートと詩のコラボ作品を会場に展示させて頂きました。
お茶の時間の後は、感情のついての心理学的学びを組み入れました。そして、エネルギーは低いながらも、ポジティブな状態であるリラックスした状態をどのように作り出したらいいのかを実習しました。



各自、配られたビーズのトレイから12個選んで、自分のブレスレットを制作しました。なぜ12個なのかというと、私が伝授した深呼吸法は1回で16秒間。それを12回続けると3分間あまりとなります。1日に3回ビーズを爪弾きながらこの3分間の深呼吸法を実施することにより、心の平安が得られるようになっていくのです。

一つずつ選んだビーズにはさまざまな想いが籠められています



  















































































































































最後に全員参加で来年のイメージを描いてみました
ハート♡がいっぱいのイメージに仕上がりました。アート・セラピーの部はここまで。  


アート・セラピーの後は郁子さんの笑いヨガのはじまりはじまり~
笑いヨガでは身体もよ~く伸ばします。そして、お腹の底から声を出して笑う練習をしました。

全員で描いたイメージと共に笑いヨガ後の最高の笑顔で!
最後のお楽しみは、全員で作ったイメージを引きちぎって、各自好きな部分を持って帰ります。ポジティブな来年のイメージの一部を自分に内在化させる効果もあります。 




日本語によるバンクーバーでの初グループ・アート・セラピーは大成功でした。

参加者の皆さんの輝かしい2012年が楽しみです!