2016年2月18日木曜日

02/17/16 【『愛』を贈るバレンタイン・デー】

このところ曇りや雨の多いどんよりしたお天気続きでした。
早く暖かい陽射しが射し込む春が来ないかな~

私が生徒に送ったキャンディー入りの『愛』(右)
それを生徒が真似た作品(左)


心を紐解くアート作り:プロセスを大切にする  『心のアート・ワーク』の
カナダBC州公認アート・セラピスト&同州公認心理カウンセラー
上原英子です。 

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就学前のクラスの生徒たちの作品。いろいろな♡があるね!

北米ではクリスマスもハロウィーンも行事にはチョコが付きもの。
バレンタイン・デーだから特別にチョコを贈るということでもないようです。



2月14日のバレンタイン・デーは、日本では女性が男性にチョコを贈る日。
本命チョコとか義理チョコ、友達や自分に贈る女性もいるんですね。

3月14日はチョコのお返しをするのは日本ならではでこちらにはない習慣。
 

それに、バレンタイン・デーは、どちらかというと男性が女性に、もしくは、お互いが贈り物をしあう日。



小学校では生徒同士、クラス・メートにカードを贈ることが多い。
取り残される子が出ないように、先生は親御さんに生徒がカードを

クラス全員分用意するように指導するんですって。

毎年、私はアート・セラピーの個人セッションをしている生徒全員に何か甘いものをプレゼントしています。

甘いものは、comfort:元気づけるものって
感じがするから。

今年は生徒たちが大好きな日本製の飴をバンクーバーのダイソーで
買って用意しておきました。
真っ赤な♡を生徒の人数分折って、一個ずつその中に入れました。

 
生徒たちは漢字に憧れているので、バレンタイン・デーにふさわしく
『愛』と記しました。
 
裏に『英子の篆刻を捺したシールを貼って、何と書かれているか分かるようにEikoと記しておきました。

こんな小さな愛ですが、このプログラムの生徒たちにとっては特別なもの。

生徒たちは大喜び!変顔の写真を撮りました~

先生が毎日クラスに連れて来ているワンコが?な顔で見ています。 

ジュニア・クラスの生徒も喜んで、こちらも変顔で撮影!

このクラスの先生も毎日ワンコを連れて来ていて、クラス・メートの一員に

なっています。


 12/7/15 【K君2:もう頑張れないよ!】
 http://kokoronoartwork.blogspot.ca/2015/12/12715-k.html

に登場したK君は日本のお菓子が大好き。

K君「バレンタイン・デーにってもらった日本の飴、
とってもおいしかったよ。
♡の折り紙に入っていて、『愛』って書いてあったね」

私「K君は日本のお菓子が好きだもんね。

みんなのこと大好きだから、愛って書いたよ。
喜んでくれて嬉しいな。」

↓以下は画面では青なのですが、赤から変換されません~
K君「♡に日本の飴を入れて僕たちにくれたのは、
特別なことだよ。
ありがとう!」 

大人を喜ばせようとするK君は、わざわざ私にお礼を言いに来てくれた。

かたや私の目の前で飴を出し、手作りした♡折り紙を
ごみ箱に捨てようとしたのは、対人関係音痴のJ君。

 02/6/16 【J君3:もう、たくさんだ~!】
 http://kokoronoartwork.blogspot.ca/2016/02/2616-j3.html
  
私「J君、その♡の折り紙は私が一人一人に
ったんだよ。」
  
J君「こんな飴、初めてだ。
これは袋だから、飴を出したらゴミでしょ」

私「J君にとってはゴミかも知れないけど、
折角作ったものを目の前で捨てられたら悲しい。
この♡は持って帰って欲しいな。」

J君「???・・・じゃあ、持って帰るよ」 

いろいろな生徒がいる代替教育プログラム。

イベント時に全員分を手作りするのは時間と労力が
掛かります。

それでも、このようなちょっとしたことの積み重ねが、
私と生徒との関係性を深めていくのだと、

喜びを感じながら手作りしています。

2016年2月7日日曜日

02/6/16 【J君3:もう、たくさんだ~!】

カナダに住んでいるにも関わらず、
今冬は暖かい冬を満喫しています。

おもちゃの恐竜の気持ちは?
「もう、たくさんだ~!」

心を紐解くアート作り:プロセスを大切にする  『心のアート・ワーク』の
カナダBC州公認アート・セラピスト&同州公認心理カウンセラー
上原英子です。 

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今回はJ君シリーズ3を綴ります。

シリーズの1・2は以下をご覧ください。
 
10/28/15 【J君1:世界一のダメ人間】

 http://kokoronoartwork.blogspot.ca/2015/10/102815.html

 11/4/15 【J君2:対人関係音痴って?】
 http://kokoronoartwork.blogspot.ca/2015/11/11415.html

J君(8歳)は数学は天性的にできるが、他の面で幾つかの発達障害の症状が。

彼は特に感情の制御に問題がある。

自分が気に入らないと癇癪を起す。
           ↓
それを先生たちに指摘されると激怒する。
           ↓
悔しくて泣き崩れて別室送りになる。

 J君とのセッションは初回から破壊的な感情の嵐

台風の目の存在の彼なのに、 自分は被害者だと信じ込んで止まない。 

一人も友達がいないJ君は、友達が欲しくて仕方ない。

でも、自分のやり方を押し付け、威張り散らしたりするので友達ができない。

それは認めないので、J君はいつも被害者。
悪いのは周りの人。

プレイ・セラピーにもその様子が現れる。
 
3つのフィギュアを繋げて、
J君「友達だから、いつも一緒にいる」

それぞれが自由でないと、やがて決別するのでは…

そんなJ君の自己評価はとても低い。

J君「自分なんか死んでしまった方がいいんだ」

担任の先生にそう漏らしたという。

私とはこんな会話を交わした。
 
J君「注意欠陥多動障害がある人は、いつも不安に
駆られているんだって知っていた?

私「(知っていたけど知らないふり)ふぅ~ん、そうなんだ」 

J君「僕は注意欠陥多動障害があるから、
いつも不安に駆られているんだ」 

私「それはとっても大変そうね。どんな感じなの?

J君「自分なんか死んでしまった方がいいって感じる時もあるよ」
 
最初は私の前で荒れ狂うばかりのJ君だったけど、
この頃、こんな心情を吐露するようになってきた。

彼なりに私と関わっていく中で、

「この大人は信頼して自分の気持ちを伝えられる」

そう感じて少しずつ心を開いていったのだろう。



難しい言葉を使うこともあるJ君だが、遊び方はとても幼い感じ。

感覚的な過敏/鈍感さのある発達障害の生徒は手でものを触りまくることも。

そんな生徒たちに人気なのがこちら。

 
折り紙で巻貝を折って、そこにキネティック・サンドを
アイスクリームに見立てて載せてみたJ君 

これはスウェーデン生まれの不思議な砂 
「キネティック・サンド(動く砂)」

 粘土のように団子状にできたり、
ナイフで切ることもできるのです。
 持ち上げると砂のようにホロホロっと崩れます。

http://ggsoku.com/cul-on/kinetic-sand/

 
生徒に人気の口が開いている恐竜 

J君はこれにキネティック・サンドをどんどん詰め込み始めた。

私は彼がどれだけ砂を恐竜の口の中に詰め込むのか見守っていた。

私「ずいぶんたくさん入ったね。
この恐竜は今、口がきけないけど、
何て言いたいのかな?」

J君「もう、たくさんだ~!」

対人関係音痴で人との機微が全く分からず、
親分風を吹かせては嫌われているJ君。

彼にとって人との関係は、わけわからなくて、
もう、たくさんだ~なんだろう。

私はJ君の代りに彼に友人を作ってあげることはできない。

対人関係音痴なJ君は自分の声のトーンを知り、
周りとハーモニーを奏でる術を自分で体得していくしかないのだ。

手で感触を感じるのが好きなJ君は色鮮やかな
プラスティシーン(粘土)で何か作り始めた。



J君「スーパーマリオのマッシュルームを作る」

私「いいね!でも、今日はあと5分でおしまいよ」

J君「じゃあ、ぼくのこと手伝って、茶色の粘土を
   渡してもいいよ」

私「・・・?
 私が手伝いたいかどうかは、私が決めるから。
 今の命令口調だったら、手伝いたくない~」
 
J君しばし考えて


J君「あと5分しかないので、粘土を渡すのを

   手伝って下さい」

私「いいよ、私が手伝ったら早く仕上がると思ってたよ。
  じゃあ、手伝うね」

このようなやりとりから何かを学んでいるJ君。
 
J君が作ったスーパーマリオのマッシュルーム

注意欠陥多動障害を持っていて、行動が衝動的なJ君。

以前、J君は新しいおもちゃを探して、
私のバッグをやさがししようとしたことがあった。

私「それは私のバッグで、勝手に中を探られたくない」

J君「新しいおもちゃないの?」

私「そういう時はいきなり行動を起こす前に、

  先に言葉で訊いてほしいわ」

J君「…」

この時、J君は何でこんなことを言われるのか?だったようだが、
次に新しいおもちゃを探したい時に手が出る前に私に尋ねた。

J君「新しいおもちゃないの?」

彼は私との関わりから確実に
対人技術を学んでいる! 

彼が人との関わり方を学んでいく道のりは
長そうだけど、
私は歩むに値する道程だと確信している。